でもね、この夏に北海道ツーリングが叶ったら、必ずここに還ってくるわ。
この地は、ぼくの拙いオリジナル小説、マッキーちゃんシリーズの舞台となった場所なので、かなり思い入れがあった。
またな!
ここから頓別国道、つまり内陸部に入った。もの凄い降雪量である。廃業したはずのマウントピンネの看板が残っていた。懐かしいし、ライダーメンが食べたいなんて思っているうちに、またも寝てしまった。
札幌に戻った頃は、もう真っ暗であった。
ドライバーさんや仲良くなった皆様にお礼を言って、地下鉄で中島公園に向かう。今宵の宿はシティホテルながら天然温泉つきというアートホテルズ札幌である。
途中、夕食をとろうと重いバックを担ぎながら歩いた。足元が凍っているので、なんども転びそうになった。
しかし、食堂も居酒屋も全然営業してないじゃないか。中島公園からすすきのへ抜ける、この賑やかなストリートがとても閑散としている。あっ、そうか。今日は元旦なんだ。お店が開いているはずがない。
諦めて、セイコマでビールや食料を調達し、ホテルに向かう。
凄いアイスバーンの通りの先に今宵の宿がそびえ立っていた。本当に巨大なシティホテルだった。ちょっと大袈裟かも知れないがリゾートっぽい。
フロントで受付をした際に荷物を宅配するための箱を購入した。
『あの、レンタルパソコンなど置いてますか』
一応、聞いてみる。
「ございますよ。1泊千円ほどかかりますが、よろしいですか」
『じゃあ、お借りします』
ぼくのただでさえ重い荷物へさらにPCやら段ボール箱やらが追加されたので、大変な量になってしまった。
「お手伝いいたしますね」
にっこりと微笑み、従業員の可愛らしいお姉さんが台車に荷物を積み込んで、17階の客室まで運んでくれた。
すいませんねえ。惚れてまうがな(嘘)
「温泉は3階にございます。3階まででしたら、浴衣やスリッパでもかまいませんので、ごゆっくりごくつろぎくださいませ」
『はい、荷物ありがとうございました』
というわけで、さっそく3階の浴場へ向かうと、広々とした温泉施設ではありませんか。体を流し、じっくりとジャグジーの効いた湯に浸かった。
いやあ、実に心地よかった。つい長湯してしまい、湯あたりしそうになる。
『本年もよろしくお願いします。画像は、今朝6時ごろ、日の出前の宗谷岬からです。寒いし、風が強いし、もう大変!昨夜は、稚内市街のアイスバーンの上で、初めて”人体帆掛け舟”を体験しました。というわけで、先ほど札幌帰還でした。詳しくはいずれ』
部屋に戻り、ビールを飲みながらPCでネットに入る。そして、ブログに本年初記事をUPした。
PCを閉じた後は、ベットへ横になりながら小説”警官の血”を夢中で読んだ。なんという奇遇だろう。警官3代のうち、2代目が北大生として昭和40年代のここ札幌に住んでいた。しかし、実は公安の潜入捜査官として学生運動を監視するためであった。やがて、その重圧から心が壊れていく。
おっと、あんまり書くとネタバレになるか。
旅ももう終わりだ。明日には苫小牧から太平洋フェリーに乗船予定・・・
なんて感慨にふけっているうちにぼくの意識は消えていった。
なんだか、あっという間の日々だった。